イラク、サマワで任務を遂行した陸上自衛隊の最後の便が、25日無事日本
に到着しました。二年に亘る過酷な任務の完遂、特に「一発の銃弾も撃
たず」にという奇跡的な歴史を作っての帰国は、まさに賞賛に値する事
であります。
派遣を巡っての是非、或いは自衛隊が行った「人道支援」の中身そのも
のは今後も引き続き検証が必要なことは言うまでもありません。間違って
いけないことは、上記の検証作業と自衛隊の諸氏が任務を遂行したという
偉業とは別物であるということです。
子供のおもちゃのような武器を携え、自衛すら覚束ない環境下で、更には
世界一安全と言われている日本での生活しか経験したことのない若者達が
一糸乱れず長期間行動出来たことは、日頃の訓練と隊員達一人ひとりの類
稀な精神力、更には優秀な指導者があったからでありましょう。
私自身は湾岸戦争が勃発した時に、中東に駐在していた時期がありました。
今回同様にいち早く米国支持を発表した日本或いは日本人に対する批判の
声が現地に上がり、暫くして毎日くらいに通っていた日本大使館に手榴弾
が投げ込まれるという恐怖を短期間ではありましたが経験したことがあり
ます。流石にその時の夜は恐怖心でなかなか眠れなかったですね。
この私の体験とは比べ物にならないくらいの恐怖心と彼らは戦ってきた訳
です。出発前の彼らの覚悟のほどは如何様であったのでしょうか。無事に
帰ったからと言って、精神的なダメージが全くなかったどうか。これは出来
得る限りのアフターケアを国、自衛隊は行うべきでありましょう。
更に言えば、この成功を変な方向で政治利用して欲しくはないですね。任
務地の選定、事前の周到な準備そしてもしかしたらたまたまの僥倖が重な
った結果かも知れません。常に同じように「一発の銃声も発せず」任務が
遂行できるとは限らないということで、これを機に積極的に世界の警察を
標榜する米国の後を追うなんて考えは絶対に止めて欲しいですね。
いずれにしても自衛隊の皆さん、そして肉親の方々、お疲れ様でした。暫
くは日本の自然を満喫してゆっくり休んで下さいね。
(写真はNIKKEINETからお借りしました)