
あの有名な冷戦時代の偉大な英国の作家ジョン・ル・カレ
が、スパイ小説からの転換を図った話題の原作の映画化。
ジョン・ル・カレの作品は好きでよく読んでおりました。
流石007を生んだ国の昔その道にいた人だけあって
その小説の内容にはいつも驚いていたものです。
本映画は何故かアカデミー賞にもノミネートされたくらい
封切り前から話題でありました。
小説の書評は大分前にブログでやりましたが、ナイロビに
いた私としては大変に不満で、映画はDVDでと決めていた
ほど。映像化で不満の箇所がかなり改善されるかと期待
していましたが、むむ、原作に忠実すぎる(笑)
主人公が事件のきっかけとなるナイロビ近郊のスラム街が
映し出されますが、これは実写かな。私もこのスラムには
何回か行きました。日本人のNPOの方が数人こちらで活躍
されています。
皆さん元気で活躍されているかなぁ。
映画の本筋は援助を食い物にしている医薬品メーカーの
陰謀とそれを暴く外交官の妻、そして妻の行動を理解して
いなかった夫の殺害された妻の過去の行動を辿る姿が描か
れています。
実はこの手の話はアフリカには結構多いのですよね。多分
ル・カレもこうした情報を基に作品を書いたのではないか
と思うのですが。
でもね、幾らインターネットが発達しているからと言って
ネットだけで事件の真相が暴けるものかしら。今まで綿密
な取材を基に書いてきたル・カレの作品としてはその点が
甚だ不満なのです。肝心のところがかなり安直に流れて
しまって、それでこの映画を観終わった後、何かすっきり
した感じになれないのです。
そして最後のエンディング。映画的にはこの終わり方は
夫の妻への愛情表現となるんでしょうけど、随分と甘い。
何故、成り行きに任せた格好で彼の妻探しの旅を終えるのか
小説を読んでも分かりませんでした。
何だ慈善にかぶれた我儘な奥さんのお蔭で旦那が大変ね、
てな皮肉な見方も出来てしまう。
因みに映画で殆どケニアの美しさは省かれてしまっていま
すが、舞台となった場所は大変に風光明媚なところであり
ます。トルカナ湖の付近は今でも難民キャンプが点在して
ちょっと旅行は難しいところでありますけど。
絵的にはもう少しいいショットを多用してくれればと残念
な思いをしてしまいました。
色々難を言えばあるのですが、この映画が指摘した後進国
援助の問題は全く正しいと思います。また、隣国スーダン
の食糧援助の光景が出てきますが、かなり実態に近いところ
が描かれている点は貴重です。
■この映画の評価:★★★☆☆
(最高評価は★五つ)
・

