
「あの〜、相談に乗ってもらえますかぁ」
「あぁ、いいですよ。じゃぁ、昼お茶でも、それとも
夜がいいのかなぁ・・・」
「あのぅ〜、昼はちょっと。夜のほうがいいんですけどぅ」
アシスタントのケロ美は入社3年目。そのてきぱきとした
仕事ぶりと愛らしい容貌で部内の人気者である。ケロ太は
そんなケロ美に密かに感じるものがあったが、敢てその
感情は表に出さないようにしていたのだが。
ある日突然、思いつめたケロ美の口調にもしかしてという
期待感に胸を膨らませ、いそいそと携帯の電話番号を検索
し、この日のためにと用意していたフレンチ・レストラン
を予約したものであった。
「え〜と、それで相談って」
飲み物はワイン。それもボルドーの赤。え〜と、料理代の
半分の値段くらいのを頼むんだよね。はいはい、それで
結構です。ちょっと高いけど、この際だもの。一生に一度
か二度の勝負ジャン。
「それがぁ・・・」
ケロ美は注がれたワインも飲まず、窓の外に時折目をやる
ばかり。やがて意を決したように、大きな瞳を輝かせおも
むろに喋りだした。
「実は私ぃ、好きになった人がいるんですぅぅ」
おほ〜、ビンゴ!きたぁぁぁ!!
なんだい、この胸の昂まりは。ケロ太は慌ててその日三杯目
のワインを飲み干した。ボルドー種の独特の香りと味にむせ
かえりそうになるのを必死に堪えて。むむむ、これは勝利の
美酒の味か。
「あのぅ、私ケロ太さんの親友のケロ志さんが好きになってぇ。
でもぅ、あの人全然私に振り向いてくれないんですぅぅ」

ケロ太は一瞬のけぞった。そのままひっくりカエルそうに
なったが、そこは必死に堪えて。椅子が良かったせいか、
のけぞったままで静止したのが幸いであった。さもなくば
最近徹夜の連続でちょっと薄くなった後頭部が石張りの床
を直撃したであろう。
かくして、ケロ太はケロ美の延々と続くケロ志への愛の告白
を聞き、料理の値段の倍以上のボルドーワインを空けて、次
の日はケロ美に風邪で会社を休むと電話を入れる羽目に陥った
のであった。
げに、思い込みとは恐ろしいものでございます。人生とは
誤解の連続でございます。それがあるがゆえに結ばれる
カップルもあるでございます・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
連休最後の日は亡き義父の17回忌。谷中のお寺にお参りに
行ったのですが、お墓の途中の階段にケロ美とケロ太が
おりまして。これを眺めていたら昔若かった頃の自分を
思い出したりして。
あは〜、お義父さん、すんません。
・


文章と写真のカエルのポーズがピッタリで、面白いですね〜。
コメント有難うございます。
そう、おっしゃって頂いて嬉しいです。
文芸表現─特に、短詩形文芸では、しゃれた言葉やフレーズの
発見が命ですから、いろいろと無い知恵をしぼっています。
また、お遊びにおいで下さい。
では、また。
乙女ってどこに・・・?
楽しい会話に大爆笑です(^^♪
むむっ、結構こういう経験って何故か多いのですよね(笑)逆の立場になれない自分が可哀想でした・・・
絵を感じさせる歌、映画を感じさせる文章ってあり
ますよね。それぞれの苦労が偲ばれます。またいつも素敵な歌をありがとうございます。
あれ、ちゃんと可愛い、可憐な乙女がおりました
でしょう(爆)
いやいや詰まらぬ話で恐縮です。写真を並べて
いたらふと思い出しちゃって・・・